11月17日、天候に恵まれ秋晴れの陽気に包まれたオークファームにて第5回のLife Seed Laboが開催されました。 前回のラボから2週間。2週間のあいだに、果たしてタネだんごは育っているでしょうか。タネだんごの様子が気になります。ドキドキしながらガーデンにやってきてみると、何とこのような状態に! すごい生命力を放ちながら、タネだんごがびっしりと芽を出していました。自然の力だけで何の手を加えずとも育ちゆくタネだんごの存在は、私たちが野菜を育てる上でどれほど手をかければいいかというのを考える際に「過不足」の加減を教えてくれる一つの基準になってくれるような気もします。また、どの芽がでるか分からないというその特徴は、子どもたちの中に眠るたくさんの可能性をも連想されるものだなとも思ったりします。 次に、前回に続いて間引き菜の収穫をします。間引き菜の様子を見てみると、一部レースリーフになってしまっていました。つまり、虫食い葉っぱです。葉っぱに近づいてよくよく見てみると、真っ黒な虫がいるではないですか!?この虫、実は「カブラハバチ」というハチの一種の幼虫で、カブラのベビーリーフを食い尽くしてしまうほどの食いしん坊。間引き菜たちの天敵だったのです。そこで、みんなで一生懸命カブラハバチを一つ一つ丁寧に取り除いて、間引き菜を天敵から救うことにしました。こうした手入れも野菜を育てる上で欠かせない作業。こうしたひと手間が野菜を大きく育てていくのですね。 ガーデンの最後の作業は、苗の植え替え。種から育てていた白菜の苗がちょうどいい大きさになったので、自分たちのガーデンに植え替えることにしました。苗を植えるときには、まず畝を立てます。鍬の使い方を習いながら、実際に体を用いて体に道具の使い方をなじませていきます。何を使う場合でも、頭でシュミレーションするのと実際に使ってみるのとでは、大なり小なり違いがあります。その両方を繰り返しながら、道具をうまく使いこなせるようになるのかもしれませんね。 みんなの協力のもと、畝ができあがり、30cm間隔で白菜の苗を植え付けていきました。苗を植え替える際には、ポットから出した苗にしっかり水分を染み込ませてあげることと、新しく移った場所の土と苗の土を馴染むように軽く押してあげることがポイントです。これから鍋本番の季節、美味しい白菜を収穫して鍋を囲める日が来ることも楽しみですね。 今回のキッチンは「組み合わせを楽しもう」というテーマのもとで、メニューはスパイシーカレー。たくさんのスパイスの色と香りを見たり嗅いだりしながら、五感をフル稼働させて組み合わせを選んでいって、ガラムマサラから作るという本気のカレーでした。 その前に、スパイスの特徴をよりわかりやすく捉えて分類するために、シンプルマインドというiPadアプリの使い方を学びました。これは一つのテーマを根幹にして、それに関連するものや事柄をそこから伸びる枝としてすべて繋げていき、書き出したあとに頭の中を整理するように分類していくのをサポートしてくれるツールです。これをうまく使うと、一つの概念をいくつかの階層に分けて覚えていくことができたり、時系列に並べて作文が楽になります。これを使えば、物事を整理して考えることが苦手な人や考えを文にしていく人も苦手なことを克服できるかもしれません。 スパイスについて少し頭を整理したら、いよいよ様々なスパイスの中から組み合わせを選んでいきます。カレーのもととなるガラムマサラに取り掛かる前に、間引き菜にかけるドレッシング用のスパイスをまず選びました。クンクンと鼻をならしながら、香りを確かめたり、ほんの少しだけ味見をしたりしながら、チーム内でどれを選択するか決めていきます。 写真にあるように、ウコン、チリペッパー、ベイリーフ、ジンジャーなどが選ばれて、各班ごとに選ぶスパイスが違うので、味はもちろんのこと出来上がりの色が全く違うところも面白かったです。 ではお次はガラムマサラ!ホールスパイスの中から4種類の好きなスパイスを選んで、ミキサーとすり鉢で粉状になるまで砕いていきます。スパイスの硬さには本当に驚きました。まだまだ大きいものは包丁でくだいたりしながら、知恵を絞って何とか大さじ一杯分のガラムマサラを作りました。スパイスの香りで充満したキッチンでは、必死にガラムマサラを作る懸命な子どもたちの姿がありました。 最後にベースのトマトソースと出来上がったガラムマサラを加え、スパイシーなトマトカレーに仕上げていきます。カレーが出来たら盛り付けて、サラダには自分たちで作ったオリジナルのドレッシングをかけていただきます。 スパイスの色と香りに魅せられながら、組み合わせを考えていく中で、普段食べているカレーとはひと味も、ふた味も違うカレーが出来上がりました。ひと皿のお皿ができるまでに、野菜が育ちゆく時間やたくさんの手間があることを知った子どもたちの心の中には、ここで食べたカレーの味は深く刻まれることでしょう。同じ味をいつでも食べられる現代社会において、二度と同じカレーに出会うことはない今回のカレーは世界でひとつだけの価格を付けることができない価値をもったカレーだったのではないでしょうか。今回も、子ども研究員のみんな、根気づよく頑張りましたね!タネだんごから出た芽のように、子どもたちの心にも一つの新たな芽が出たことを願っています。
Monthly Archive: November 2013
Nov 11 2013
Life Seed Labo 第4回
11月3日、第3回のLife Seed Laboは大雨のため中止となり、今回は4回目となります。 今回のテーマは、「さまざまな変化をキャッチしよう」と「見えないものの働きをリサーチしよう」 それに関連して、ガーデンでは「間引き」を、キッチンでは「間引き菜ピザ」をトピックにしました。 活動前のiPad講座では、野菜の成長や、前回作って育て始めたタネだんごの観察をまとめる方法として「UPAD」という機能を学びました。このUPADは、写真や文書などの電子データに直接手書きやワープロ入力でメモを加えることができるアプリです。そのため、写真だけでは伝えきれないメモを、写真の中に書き込むことで、わかりやすい記録として残すことができるようになります。 また、今回は時間を計りながら変化をみる実験のために「タイマー」の使い方も覚えました。iPadで時間さえ設定しておけば、違う作業をしていたとしても時間を忘れて安心して作業に集中できます。時間を管理しながら効率よく行動を決めていく際に、タイマーがとても便利ですね。煮込んだり、焼いたりする料理の時は、とても役に立ちます。みなさんも日常生活にタイマーを活用してみてください。この日は、みんな一斉に好きな音楽のアラーム音が鳴るように設定し、とても賑やかな一幕がありました。 続いてガーデンは、タネから野菜になるまでのプロセスを知るという目的で、「タネだんご」や苗の様子を観察するところからスタートです。 ガーデンで育っている16種類のカブと大根の葉を記録しながら、同じ種類でも多様なカタチがあることを実感してもらいました。 ガーデンの葉っぱをひとしきり観察した後、野菜を大きく育てるために必要な「間引き」について学びました。葉っぱが密集しているところでは、日光が十分にあたらず栄養を作ることができなかったり、土からの養分を取り合うことになるので、葉が重なり合っている箇所は株ごと引いてあげなくてはいけません。この作業のことを「間引き」といい、その時に収穫できる小さな葉っぱの収穫物を「間引き菜」といいます。この間引き菜は育てているからこそ食べられる貴重な菜っ葉なのです。 とても手間のかかる間引きも、みんなで一気に手分けすると仕事が早く終わります。黙々と込み入って生えている葉っぱを探して抜くというこの作業、やりだすと意外に没頭してしまうもの。会話をしながらやるとコミュニケーションの話題にも事欠きません。 少しずつ間引いていくだけでも、ボール何倍分もの大収穫となりました。このひと手間をかけることで、貴重な間引き菜を美味しく食べることができ、それと同時に残った野菜を大きく育てることができるんですね。 さて、続いては前回つくった「タネだんご」がしっかり乾いたので、ガーデンの一部に蒔くことにしました! 好きなところにポーンと投げて、フラッグで蒔いた場所をマークします。こんな楽しくてラクチンな種まきって他にはないんじゃないでしょうか!?UPADで観察位置もバッチリ記録したので、どんな芽が出てきているのか次回のラボで確認するのが楽しみです。 ラストはお楽しみのキッチン!今回は、間引き菜を使ったピッツァとグリーンスムージ―! ピザということで、生地をふんわりとふくらませる「見えないものの働き=イースト菌」をリサーチするというミッションも並行して、ピザ作りを行いました。イースト菌の「発酵」という作用が、人間でいう「呼吸」と似ている作用であることを比較してみながら、発酵のメカニズムとイースト菌の特徴を探ります。見得ないものの働きを知ることが、実は自分の体の仕組みを知るきっかけになったり、料理上手への近道かもしれませんね。 イースト菌の働きを調べる実験では、「温度」と「砂糖の量」の違いで、どのような違いが出るのかを時間経過をみながらリサーチしました。この時に、先ほど覚えたタイマーをオンにして、15分後の変化を見逃さないようにセットしました。 さていよいよ料理開始です。ピザ班とグリーンスムージ―班に分かれて、分担作業。見事に女子と男子チームに分かれました。 グリーンスムージ―は好きなフルーツと間引き菜を7:3の割合で入れて、お水を150mlほど入れてからミキサーで拡販して出来上がりです。入れるフルーツや、野菜とフルーツの割合によってカラーも味も変わっていきます。子ども研究員たちは、「この味はだめだ―」などと叫びながら、試行錯誤の味覚実験をしていました。 ピザ班では、生地の伸ばし方をしっかりレクチャーしてもらい、ピザ職人になったかのような手つきで生地を伸ばしていきます。自分たちのガーデンで収穫した間引き菜をここでもトッピングとしてのせて彩りもよ味わいもよい組み合わせを考えます。 ピザ窯で一瞬で外はカリッと、内はモッチリと焼きあがったピザをみんなで分けながらいただきます。間引き案ピザとグリーンスムージ―が出来上がるまでに、 時間と手間がかかっていること、そして見えない菌の働きがあることを感じながら食べる時間は、いつもよりもっと豊かで美味しい時間になったことでしょう。美味しいものをゴールにした学びは、子どもたちの興味を自然に湧きあがらせて、笑顔にしてくれる学びなのかもしれませんね。今回も豊かなレシピでごちそうさまでした。


